「あんこう」って?
大洗町の沖合(常磐沖)は、プランクトンや小魚が豊富です。それらを捕食しているこの地域で捕れた「あんこう」は特に美味しいことから「西のふぐ、東のあんこう」との言い伝えがあるほどで、「あんこう」はまさに茨城を代表する冬の味覚となっています。
頭が平たく、巨大な口には鋭い歯が並ぶグロテスクな姿の深海魚「あんこう」。
しかし、その姿に似合わず、味は淡白で美味しく、捨てるところがありません。
「あんこう」は昔から料亭や旅館にとって高級食材であり、あごと骨以外は余すところなく食べられ珍重されてきました。
一般に「あんこうの七つ道具」と呼ばれる各部位は、それぞれ異なる食感や味わいを楽しむことができます。
また、表面がヌルヌルしている「あんこう」は、まな板の上では捌きにくいため「吊るし切り」するのが通例となっています。
あんこうの七つ道具
あんこうは身、皮、水袋(胃)、キモ(肝臓)、ヌノ(卵巣)、えら、トモ(ヒレ)が食用部位となっており、それらは「あんこうの七つ道具」と呼ばれ、骨とあご、眼球以外は余すところなく食べられます。
あんこうそのものは水分の多い白身で脂質量は低く、魚介類の中でも非常にカロリーの低い食材です。
身はやわらかく淡白で上品な味わいですが、皮、胃、卵巣、えら、ヒレなどは弾力性に富んだ食感が特長で、鍋などにすると噛むほどに味が出ます。
一方、肝臓は「あんキモ」と呼ばれ、見た目と食感、濃厚な美味しさから「海のフォアグラ」とも言われています。
キモは脂質が高く高カロリーで、ビタミンA(レチノール)やビタミン12、ビタミンDを豊富に含んでいることから、肌の健康を維持したり、老化防止、視覚の暗順応に良いとされています。
また、皮のゼラチン質に多く含まれるコラーゲンとの相乗効果で、美肌効果も期待できます。
これだけの栄養が揃った「あんこう」はまさに優秀な健康食材と言えるでしょう。
あんこう料理ご案内
「あんこう」は、キモが肥大化する11月~2月が一番美味しいとされています。

あんこう鍋
あんこう料理の代表格「あんこう鍋」。
「どぶ汁」をベースにした味噌仕立ての濃厚なスープのもの、また醤油仕立てのあっさりとした味付けのものなど、それぞれのお店で独自の味が楽しめます。
どの鍋にも、あんこうの七つ道具、季節の野菜や豆腐、しらたきなどがふんだんに入り、多彩な食材が融合した栄養豊かな料理です。